逮捕・勾留段階での弁護の重要性(弁護士・狩野直哉)
弁護士の狩野です。
9月というのに暑い日が続きますね。
暑いのもあとわずかと思い、暑さに負けずにがんばっていきたいものです。
さて、本日のブログでは、刑事弁護についてお話しさせていただきたいと思います。
刑事弁護は、大きく分けて2つの段階に分けられます。
被疑者弁護(逮捕・勾留され、起訴される前の段階)
被告人弁護(起訴され、裁判所で裁判を受ける段階)
の2つです。
前者の被疑者弁護の活動いかんによっては、起訴され、裁判を受けることを避けられる場合があります。
この点が、被疑者弁護を行う重要なメリットです。
例えば、窃盗事件で逮捕・勾留されてしまったケースを想定します。
逮捕・勾留されるケースというのは、悪質な行為をしたと評価されていて、そのまま何もしなければ、起訴され、裁判所での裁判を受けるというのが普通の流れです。起訴された場合、裁判が終わるまで勾留が続きます。この勾留はふつう1か月以上です。
このような場合の弁護活動としては、被害者に対する謝罪・被害の弁償を行います。
この弁護活動がうまくいけば、起訴を免れることができる可能性があります。
起訴を免れれば、前科はつかないですし、また、起訴された場合に比べ身柄も早期に解放されます。
そして、被害者の側としても、早期に被害の弁償を受けることができるというメリットがあります。
もちろん、犯罪は許されるものではありません。
しかし、起こしてしまった過ちについて、反省し、被害を弁償し、被害者の方に十分な慰謝をする。
これが事件の解決としてあるべきひとつのかたちだと思っています。
ただ、被疑者弁護活動は時間との戦いです。勾留されたあとは、長くても20日間しか、起訴・不起訴の処分を決めるまで時間がありません。できるだけ早い時期に弁護士をたてる必要があります。
資力のない方の場合には(基本的に国の費用で)被疑者国選弁護人を希望すればつけることができる場合があります。
先ほどの例の窃盗罪は国選弁護人がつけられます。
しかし、全ての犯罪について被疑者国選弁護人がつくわけではありません。
「死刑又は無期若しくは長期3年を超える懲役若しくは禁固に当たる事件」についてのみ被疑者国選弁護人をつけることができます。
この要件をみたさない身近な犯罪の例としては、「住居侵入罪」、「脅迫罪」があげられます。
被疑者段階で国選弁護人をつけることができる事件なのか、自ら弁護士を依頼しなければならない事件なのか、このあたりの区別というのは重要です。弁護士をつけるのか迷っているうちに、起訴されてしまったというケースがみられます。
私が被告人段階からついた事件でも、被疑者段階で十分な弁護活動がなされていれば、起訴されない可能性があったと思われる事件がありました。起訴されてしまえば、前科がつきますし、最悪の場合、刑務所に行かなければならないということがあります。
ですので、身近な方が逮捕・勾留されてしまった場合には、一刻も早く弁護士に相談されることをおすすめします。
投稿者 小山法律事務所 | 2012年9月14日 09:26