福島レポート⑩ (弁護士 小山治郎)

 国会事故調査委員会報告書

 7月5日、東京電力福島第一原発事故を検証していた国会の事故調査委員会は報告書を国会に提出しました。この事故調査委員会は、国会内におかれましたが、民間の専門家による事故調査委員会で、特別法で設置された画期的なものです。報告書は約640ページからなるもので、今回の事故は人災であると断定しました。そして規制当局と東京電力経営陣は、「これまで何度も対策を打つ機会があったにもかかわらず」先送りしてきたと断罪しました。また当時の首相官邸は、現場に過剰に介入したと批判されています。しかし当時の管首相は、原子力保安院の機能不全と東電本社からの情報不足に苛立ったのだと思います。やはり、政府と東京電力の両組織に前代未聞の災害に対する危機管理機能が欠けていたことは否めません。当時の管首相を過度に批判することは、真の再発防止につながらないと思います。

 また女川原発のある東北電力管内の宮城県女川町の津波は、福島第一原発の存在する福島県双葉郡大熊町の津波より高かったのに、原子炉を冷やすために不可欠な電源が失われることはなかったのです。私は今後、この点についての調査が重要だと思います。

 



投稿者 小山法律事務所 | 2012年7月 9日 10:50

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