福島レポート② (弁護士 小山治郎)
福島県大熊町には福島原発1号機から4号機がある(5号機と6号機は隣の双葉町)。大熊町はもちろん警戒区域であるが、ここの牧場で牛を飼っているIさん(50歳)は、広野町の避難区域から毎週30頭の牛の世話のために通っているという(福島民放より)。牧場は原発から6キロしか離れていないので、線量は高いところでは毎時約15マイクロシーベルトにのぼる。このような環境で育った牛を出荷することはできない。Iさんは、妻とともに酪農だけで暮らしていくことを夢見ていたが、原発事故にその夢は奪われてしまった。しかし、世話をしてきた牛たちは可愛くて、安楽死には同意しなかった。Iさん夫妻は、牛たちが今後、放射線の影響の研究対象として世の中のために役立ってくれることを願っているという。
牛の命を全うさせてやりたいというIさんの行動から、酪農家の家畜に対する愛情がよく伝わってくる。
投稿者 小山法律事務所 | 2012年5月14日 10:00