法律Q&A

私は、建設会社を経営していますが、親族に後継者がいないので、神奈川県事業引継支援センターのデーターベースに登録しましたところ、買い手候補が現れ、秘密保持誓約書と交換に会社の決算書等を開示しました。その後,買手候補代表取締役からトップ会談を行いたいと、引継センターを介して連絡がありました。トップ会談には応ずるつもりですが、トップ会談に臨む心構えと、その後のスケジュールについて教えてください。

[事業承継]

<ご回答>

トップ会談は、書面ではわかりにくいことを経営者同士の面談を通じてつかんでもらうことに意義があります。譲渡企業にしてみれば大事な会社を託す相手であるし、譲受企業にしてみれば大金を投じる会社の経営者がどんな人物か知りたいのは当然ですから、直接会って相互理解を深めることはとても重要なことです。そこで、もし貴方にとってM&Aの動機が従業員の雇用確保であれば、買い手候補社長の経営理念や人事についての考え方などを聞いてみるべきです。

 トップ会談の場所は、双方のトップが自由に決めればよいことですが、引継センターではトップ会談の場所を提供してくれますし、担当者が進行係を務めてくれます。

 トップ会談で、M&A手続きを進めることになった場合、基本合意書作成に向けて、交渉を行います。基本合意書では、売り手企業の株式譲渡代金の定め方又は凡その譲渡代金、デューデリジェン(調査)の進め方、役員、従業員の処遇、本契約締結までの日程、秘密保持事項、独占交渉権などについて書面化します。基本合意書は本契約ではありませんから、秘密保持条項と独占交渉権についての定めを除き法的拘束力はありません。

 しかし基本合意書は、株式譲渡代金の定め方や役員、従業員の処遇について取り決めをするのですから、法的拘束力がないといっても非常に重要なことです。そこで当事者が何度も会って慎重に交渉をすべきです。基本合意書作成までは、関与人員は経営トップを含む少人数で、帳簿や必要資料も最小限で済みますので、M&Aに関する情報が会社内外に漏れるリスクは小さいです。そのため時間をかけることが出来るのです。

 しかし基本合意書作成後は、会計、法務及び税務などについてデューデリジェンスを行うため、各種資料保管者の協力が必要になり、M&Aの存在や内容が会社内外に漏れるリスクが高まります。そのため、基本合意書作成後は、経営トップがリーダーシップをとって、果断に行動し、できるだけ短期間に本契約締結に持ち込むべきです。

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