法律Q&A

私は、従業員20人の建設会社を経営しています。長男はサラリーマンで、次男は学校の教師をしています。2人とも私の会社を承継する意思はありません。私も年齢が70台半ばを過ぎ、体力・気力の衰えを感じています。会社はそれでも年商13億円、営業利益も500万円~1000万円程度あります。このまま会社を畳んでしまうことも考えましたが、従業員の生活を考えるとそれもできません。そこでM&Aを考えていますが、どのように進めてよいのかわかりませんので、ご教示ください。

[事業承継]

<ご回答>

中小企業は日本経済の基盤を支える存在です。しかし経営者の平均年齢は70歳に近づき、しかも親族に承継希望者がいないケースが増えています。そこで国も中小企業の廃業防止に力を入れるようになり、各都道府県に事業引継ぎ支援センターを設置しました。先日も私の顧問先から相談を受け、神奈川県事業引継ぎ支援センターを利用して、MA手続に入りましたので、その手続きを説明します。

 まず、事業引継ぎ支援センターに相談予約を申し込みます。神奈川県の場合、横浜市中区にあります神奈川県事業引継ぎセンターに申込書をFAXします。申込書はホームページからダウンロードできます。A4用紙1枚に基本的事項を記入してFAXします。まもなく電話がかかってきますので、相談日を予約します。予約日に持参するものは、直近3期分の決算書、定款及び商業登記簿謄本です。代表取締役は必ず出席しなければなりません。

 当日、センター側からは、統括官と同補佐の2人が対応します。統括官らからいろいろ質問を受けます。質問に要領よく答えるられるように企業概要書を事前に作成して持参することをお勧めします。企業概要書とは、直近数年間の経営成績、会社の沿革、組織図、従業員名簿、そしてMAの動機などをまとめて記載したものです。

 面談から数日後、センターより、ノンネームシートが送られてきます。これは譲渡希望会社の概要をA4用紙1枚に、会社が特定されない程度に記載したものです。これは決算書等からセンターが作成したものです。これに訂正等がなければ、センターにOKの連絡をします。するとセンターは、このノンネームシートの内容をデーターベースに登録します。

 私が代理人となって対応した会社の場合、データーベースに登録してから1ケ月程度で、3件の買受希望会社がありました。買受希望会社が現れるとセンターから、秘密保持確約書と交換に、会社の決算書等のより詳細な資料を開示してよいかという問い合わせがあります。譲渡希望会社の経営者の中には、あの会社にだけは売却したくないという場合もあるからです。これにOKを出すと、いよいよMAのマッチングのスタートです。この後の手続きは次回にご説明します。

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