法律Q&A

私は資本金1000万円の部品製造会社を経営しています。私は今年で70歳になり、引退を考えていますが、後継者がいません。長男を後継者に予定していたのですが、長男は大企業に就職して、私の会社を継ぐ意思はないと言っています。私の会社は従業員15人で、年商2億円、営業利益は年間100万円程度です。従業員にも当たったのですが、会社債務約1億円の経営者保証がネックになり、引き受けてくれる人はいませんでした。そこでM&Aで会社を売却しようと思い、M&A仲介業者を尋ね、会社の状況を説明したら、なんとM&Aには着手金が10

[事業承継]

<ご回答>

 M&A仲介業者の着手金1000万円というのは珍しくありません。M&Aを成立させるには、まず御社の内容を調査し、そして問題点を見つけたら、それをできるだけ改善し買主との価格交渉に入ります。当初の調査で問題点が多ければその改善のために多くの費用が掛かります。またM&A仲介業者は常日頃情報を収集して買い手候補者を探しリストを作っていますが、その費用も結局着手金に上乗せして回収します。ですから、M&A仲介業者に依頼する場合は1000万円程度の着手金は普通です。さらにM&A仲介業者は成功報酬として、売却代金の一定割合を要求します。ですから資本金1000万円程度の中小企業がM&A仲介業者を利用する。

 そこで、御社にお勧めするのは、中小企業庁が運営している各都道府県の事業引継支援センターにおけるデーターベースを利用することです。ここには買い手希望の多くの企業が登録されていますので、M&A仲介業者に依頼しなくてもM&Aを成立させることが可能です。

 しかし事業引継支援センターのデーターベースを利用する前に御社は自社の問題点を改善することをお勧めします。問題点が多いと買収価格は低くなります。できるだけ高く御社を買い取ってもらうためには、問題点の改善は是非とも必要です。M&Aで買主は必ず対象会社につき、法務、会計、事業の各観点から調査(デューデリジェンス)を行います。このデューデリジェンス(DD)で問題点が多く発見されると、高い買収価格は望めず、時には買収中止となります。ですからM&Aの準備として、御社は弁護士や税理士に依頼し、問題点の改善に取り組むべきです。特に中小企業においては会社と経営者の不明朗な取引が存在するのが普通ですからこの改善は必須です。また、売主のための法務DDや株式売買契約の締結、そして決済(クロージング)において弁護士は不可欠です。M&Aは一回限りの大きな取引ですから万が一にもミスがあっては取り返しが付きません。依頼者の利益を徹底して守る弁護士の存在は欠かせません。

ページの先頭へ戻る