Q 私は厨房機械を製造している小さな会社を経営していますが、先日問屋に機械を納品したところ、その問屋が倒産してしまいました。何とか売掛金を回収するか、その機械を取り戻したいのですが、どうしたらいいでしょうか。
[企業法務]
<ご回答>
A 貴方の会社が所有権留保で厨房機械を販売したのであれば、原則として
所有権に基づきこの厨房機械を取り戻すことができます。しかし通常の掛け売
りであれば、動産売買の先取特権という担保権を行使することになります。す
なわち、先取特権という担保権に基づき、その機械を差押え、それを競売する
ことにより売掛金の弁済に充てることができます。
またその機械が転売されている場合には、先取特権の物上代位という権利
に基づき、その問屋の機械売却先に対する代金債権を差し押さえることができ
ます。この場合、転売先が問屋に支払する前に売掛債権を差押える必要があり
ます。手続は以下のようになります。
厨房機械を差押えるには、この場合、売買契約書等担保権の存在を証明する文
書を提出して執行裁判所の許可を受け(民事執行法190条1項3号)、裁判所の執行官に対し担保権の実行としての動産競売申立をし、その厨房機械を差し押さえて競売し、競売代金から配当を受けることになります。
動産売買先取特権の物上代位に基づき転売代金を差し押さえるには、前述の売買契約書に加え、買主から転売先にその厨房機械が売却され引渡されたことを証明する文書を添えて執行裁判所に担保権の実行としての債権差押命令申立てをします。
手続的にはこのように複雑ですので、当事務所の弁護士に相談してください。