私は、海産物を扱う有限会社を経営しています。昨年から取引を始めた卸売会社(A社)に対し500万円の売掛があるのですが、期限が来ても弁済してくれません。その会社には資産として自社ビルがあります。どうしたらいいでしょうか。
[企業法務]
<ご回答>
A社に対し、仮差押えすべきです。
A社が弁済できないのは、資金繰りが悪化しているためと考えられます。
したがって、唯一の財産と思われる自社ビルを売却してしまうおそれがあります。
そこで訴訟を提起する前に、仮に差し押さえておく必要があります。仮差押えをすれば売却できませんので、その会社は何とか弁済しようと努力します。その後、訴訟を提起すれば、A社は裁判上の和解によって、分割して弁済するよう努めると考えられます。
しかし、A社の資金繰りが極めて悪化している場合、A社は破産申立てをしてしまうかもしれません。A社が破産申立てをすれば、仮差押えについて裁判所が中止を命じることができ、結果的には効力を失ってしまいます。このような結果になるのを防止するためには、取引を開始するにあたって、できるだけ取引先を調査するしかありません。
その会社の取引銀行や取引先にそれとなくあたってみるとか、少なくともその会社を訪問してみることです。その結果不安を感じたら、営業保証金を積まない限り取引をしないことが賢明でしょう。