私は小さな不動産会社を経営しています。この度、中古の一戸建てを3000万円で仕入れ、リフォームして7000万円で売却することにしました。売り手も見つかっています。ところがリフォーム資金が1000万円不足しましたので、知り合いのAさんから1000万円を借りることにしました。利息は1か月200万円も要求されました。売却できれば1500万円の利益が出る予定でしたので、私は借りることにしました。しかしこの戸建てはいわゆるワケあり物件と判明したので、予定どおりには売れませんでした。私はAさんに約束どおり返済すべきでしょうか。

1000万円を借りて1か月後に200万円の利息を支払うのですから1か月で2割の高利です。いわゆるトイチは、10日で1割の高利貸しで違法ですが、この場合も当然違法です。出資法5条1項は、年109.5%を超える割合による利息の契約をしたときは、5年以下の拘禁刑若しくは1000万円以下の罰金に処す旨規定しています。本件は年24割、すなわち年240%の利息で契約していますから、明かに出資法5条1項に該当し、犯罪です。
このように契約(本件では金銭消費貸借契約)が犯罪を構成する場合、それは公序良俗に反するものとして無効となります(民法90条)。そこで金銭消費貸借契約が無効となると、利息の約束もなかったことになり、貴方は200万円の利息を支払う必要はありません。しかし、契約が無効となった場合、当事者には原則として原状回復義務が生じます。貴方はAさんから1000万円を受け取っているのですから、金銭消費貸借契約が無効でも、すでに受け取った1000万円は、不当利得としてAさんに返還するのが原則です(民法703条)。不当利得制度とは、法律上の原因なく利益を得た者は、それによって損失を被っている者にその利得を返還させる制度です。本件消費貸借契約が無効となったのであれば、貴方が1000万円を保持するのは、法律上の原因を欠くことになります。
しかし本件で、金銭消費貸借契約が無効になったのは、Aさんの行為が犯罪行為に当たるからです。このような場合、Aさんが1000万円を貴方に渡す行為は、不法原因給付となり、Aさんは、給付したものの返還を請求することができないのが原則です(民法708条本文)。これは、不法原因給付をした者に制裁加え、犯罪行為を抑制するためです。
もっとも不法原因給付を定める民法708条但し書きは、「不法の原因が受益者にのみに存したときは、この限りではない。」と定めています。この場合受益者とは、1000万円を受け取った貴方のことです。そこで、本件の1カ月2割の利息の定めは、借りた貴方にだけ原因があるかというそうではありません。むしろAさんが貴方の窮状につけ込んで高利を要求したものです。
そこで本件は、不法原因給付の原則どおり、貴方は受け取った1000万円をAさんに返還する必要はないことになります。
以上が法的結論になりますが、貴方のリフォームした不動産が価格を下げて売却できた場合、違法利息は支払う必要はありませんが、双方話し合い、元本1000万円のうち幾らかAさんに返還することで和解するのもよいと思います。