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Q&A

私は従業員20人の部品製造会社を経営しています。

平成31年4月から経営者は従業員に対し年5日の有給休暇を時季指定して取得させることが義務付けられました。

そこで当社は、従業員ごとにその誕生日や結婚記念日などに有休をとってもらうようにしています。しかしそれでも年間で有給取得が年5日にならないので、ゴールデンウイークなどの飛石連休のとき、その間の日に一斉に時季指定により有給休暇にしようと考えていますが、法律上認められますか。

又年末年始の会社の休みを時季指定取得義務の履行の対象とすることはできますか。

質問者

従業員に対し年5日の有給休暇を時季指定して取得させることを罰則付きで経営者に義務付けた(労働基準法39条第7項)のは、日本の労働者は、正社員でも有給休暇の取得率が50%と低く、全く有給休暇を取らない従業員が16%もいるといわれているからです。すなわち労働者の健康を維持し過労死や過労による自死を防ぎ、また労働者のワークライフバランスの促進のため、年間労働時間の削減がどうしても求められるのです。

 

そこで、ゴールデンウイークの飛石連休の間に一斉に時季指定して有給休暇とすることが法律上認められるかどうかも、上記法律の趣旨から判断すべきです。

 

すると、一斉に時季指定しても、個々の従業員の誕生日に時季指定しても、当該従業員の年間の労働日数は同様に減少するのですから、一斉かどうかは問題にならないはずです。したがって法律上認められます。しかし、労基法の施行規則では、あらかじめ従業員の意見を聞くことになっていますので、全員の意見を聞く必要があります。

 

また年次有給休暇の時季指定義務の対象になる従業員は、基準日に10日以上の有給休暇が付与される者に限りますから、パート従業員で年間10日未満の有給休暇が付与される方については、時季指定義務の対象になりません。そこで飛び石連休に全社休業するのであれば、このようなパート従業員の方には、当該日に有給休暇をとってもらうよう依頼する必要があります。

 

次に、年末年始の休暇を年次有給休暇の時季指定義務履行の対象にできるか、ですが、年末年始の休暇は会社が就業規則で定めた休暇です。そこで、就業規則を変更してこの期間を休暇とせず、年次有給休暇の時季指定義務履行の対象にできるか、ですが、否定すべきです。前述しましたように、労働基準法39条第7項の趣旨は、年間労働日数を減らすことにあります。しかし年末年始はもともと会社の定めた休暇だったのですから、この期間を有給休暇にしても、就業規則の変更前後で、年間労働日数は変わりません。したがって、労働基準法39条第7項の趣旨から、就業規則を変更して、年末年始の休みを年次有給休暇の時季指定義務履行の対象にすることはできません。また、そもそもこのような就業規則の不利益変更は合理性がないものとして無効です(労働契約法10条)。

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