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Q&A

私は、石油プラントの配管設備を請け負う会社を経営しています。

私は現在60歳で、あと5年ほどで引退する予定です。しかし親族に後継者が見つかりません。そこで長年私の右腕として働いてくれた専務に会社を譲るつもりです。会社の時価純資産額は1億円程度ですが、専務の自己資金は3000万円ほどです。

会社の経営権を専務に譲渡するにはどうしたらよいでしょうか。その他事業承継で注意すべきことを教えてください。

質問者

最近中小企業経営者の高齢化と承継者不足が社会問題になっています。特に親族に後継者がいない場合、政策的支援がまだ十分とは言えません。御社の場合も時価1億円の会社を専務に3000万円で譲渡すれば、贈与税の問題が生じます。

 

 そこで、御社の場合工夫が必要です。貴方はおそらく創業者でしょうから、退職するときはかなりの退職金を計上しても税務上認められると思います。そこで、5年後に退職するとき、時価純資産が3000万円程度になるように貴方の退職金を計上するのが良いと思います。退職金はあまり税金がかかりませんから、貴方にとって有利です。もっともそのためには5年後に会社が少なくとも貴方の退職金相当額の現金預金を保有する必要がありますので、遊休資産の処分等資産の流動化に努める必要があります。

 

 次に、会社の発行済株式はすべて専務に譲渡するのが原則です。少数株式が残っていますと、専務は親族ではありませんので将来トラブルになる可能性があります。5年後に全ての株式を移転できるよう、貴方以外の株主を説得してください。

 

そして、事業承継を成功させるためには、従業員はもちろん取引先に対し、株式譲渡のかなり以前から、貴方が専務に経営権を移転することをよく説明しておくことです。取引先の中には、貴方が経営者であり大株主であるからこそ取引をしていると考え、専務が社長になったとき取引を止めるところもありえます(チェインジ・オブ・コントロール条項)。そのため、取引先に対しては、専務が社長になっても従前どおり全く変わりないことをよく説明しておく必要があります。

 

最後に、会社の銀行借り入れにつき、貴方が連帯保証人になっていると思います。5年後に経営権を専務に移転したとき、貴方の連帯保証は解除してもらう必要があります。専務は親族ではないのですから、経営権を掌握したのち、必ずしも貴方の思惑どおりに経営するとは限りません。そして、貴方の連帯保証債務が解除されなかったときは、将来会社が傾いたら貴方が銀行から保証債務の履行を迫られます。

 

そこで、貴方の連帯保証を解除してもらうため、今後5年間で銀行借入につきできるだけ返済し、残高を少なくする必要があります。これは将来社長として銀行借入の連帯保証人になる専務のためにも必要です。

 

また銀行は、専務が社長になっても、貴方が会社と取引関係にあると貴方の連帯保証を解除しません。ですから、貴方と会社との貸し借りや会社の資産の個人的使用等はすべて解消しておく必要があります。

 

貴方の引退まで5年ありますが、事業承継を順調に進めるためには、今から準備しておく必要があります。事業承継に詳しい弁護士に相談するのが賢明です。

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