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Q&A

私は、先日大学に入学した孫A(18歳)に大学入学資金として500万円を贈与するつもりですが、贈与税がかかるか心配です。

また将来私が死亡した場合、その贈与が私の長男Bへの特別受益になるのではないか気になります。

質問者

①まず贈与税の問題ですが、500万円全額がAさんの入学資金に使用されるのであれば贈与税はかかりません。

 

贈与税にかかる非課税財産につき、相続税法21条の3第2号では次のように規定しています。

 

「扶養義務者相互間において生活費又は教育費に充てるためにした贈与により取得した財産のうち通常必要と認められるもの」

すなわち、扶養義務者相互間で、教育費に充てるためにした贈与は非課税となるのです。そもそも贈与とは無償で財産を提供することですが、扶養義務者間では、扶養義務の履行として行われた面がありますので、贈与の定義に当てはまらないとも考えられます。

 

ところで扶養義務者とは、民法877条によると、原則として直系血族及び兄弟姉妹です。本件で貴方と孫Aさんとは相互に直系血族です。またAさんとその父親Bさんも相互に直系血族です。そこでBさんが第1順位の扶養義務者で、貴方は第2順位の扶養義務者ではないかとも考えられますが、そもそも民法は扶養義務の順序を定めていません。扶養義務あるものが数人いるときは、当事者で協議し、協議が整わないときは裁判所が定めるとしているだけです(民法878条)。したがって上記相続税法でいう扶養義務者も、祖父と父親の順序を問題にしていません。したがって貴方と孫Aさんとは上記相続税法の「扶養義務者相互間」に該当します。

 

また上記相続税法では「通常必要と認められるもの」という要件も規定しています。しかしこれは義務教育費用に限るわけではなく、大学の学費も通常必要な教育費用と認められます。

 

したがって、貴方が贈与する500万円が入学金や学費として実際に大学に納められるのであれば、非課税となります。念のため証拠として贈与契約書を作成し、領収書等も保管しておくべきです。Aさんは未成年者ですが、贈与契約はAさんにとって権利を得るだけですから、父親Bさんの同意なく締結できます(民法5条1項但書)。

 

②次に貴方にもしものことがあり、相続が開始したとき、上記Aさんへの500万円の贈与が貴方のご長男Bさんへの特別受益になるかを考えてみます。

 

もしBさんの家計が厳しく、Aさんの大学入学資金を用意できないので、貴方が、Bさんの家計を援助するために500万円をBさん贈与したのであれば、民法903条1項の「生計の資本としての贈与」に該当しますので、特別受益となります。

しかし本件では、貴方と孫のAさんとの贈与契約であり、Aさんは貴方の共同相続人に当たりませんので、民法903条の特別受益になりません。

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