私はマンションなどの管理会社を経営しています。先日当社が管理するマンションの所有者(404号室)Aさんから、上階(504号室)の水漏れで、Aさんの部屋の天井や壁に水漏れ被害が出ていると苦情がありました。私の会社が調査したところ、504号室の床下にある給湯管が腐食して水が漏れていたのです。この場合水漏れの責任を負うのは、504号室の所有者Bさんや賃借人のCさんになるのか、それとも管理組合したがって私の会社が責任をもって修理等をするのでしょうか。

マンション水漏事故は、マンションという土地の工作物の瑕疵に基づくものですから、当該水漏事故の原因となった物が誰の所有又は支配のもとにあるかで決まります(民法717条土地の工作物責任)。
そこで水漏れの原因となった504号室の給湯管が504号室の専有部分になるか、それとも共用部分になるかを確認する必要があります。それが専有部分に属するのであれば、占有者である賃借人(Cさん)が第一次的に責任を負い、Cさんに過失がなければBさんが無過失責任を負います(民法717条参照)。また共用部分に属するのであれば、管理組合したがって御社が責任を負います。
一般の区分所有マンションの管理規約では、給水管のうち、本管(縦管)から各住戸メーター部分までの枝管(横管)は共用部分とされています。すると本件では、504号室の内部の床下に設置された給湯管から水漏れがしているのですから、それは504号室の専有部分の附属部分として、専有部分となるのが原則です。
したがって本件では、原則として賃借人であるCさんが占有者として第一次的には責任を負いますが、本件で問題の給湯管は床下に設置されているのですから賃借人が床を剝がしてまで給湯管の腐食に注意を支払う義務はないと思います。したがってCさんに過失責任を問うことは出来ず、本件では、504号室の所有者であるBさんが無過失責任を負う可能性が高いです。しかし法は人に不可能を強いることはしませんから、以下問題の給湯管が床下に設置されている状況に応じて場合分けして検討します。
ア 504号室の床とコンクリートスラブとの間に相当の隙間があり、そこに問題の給湯管が設置され、本管へと続いている場合
比較的新しい区分所有マンションはこの構造になっているようです。この場合は、専有部分の所有者は床下の給湯管の腐食具合等を確認し管理できますから原則通り無過失責任を負います。
イ 504号室の床がコンクリートスラブになっていて、給湯管がコンクリートスラブに埋め込まれている場合
この場合は、専有部分の所有者は給湯管を管理できませんので、給湯管は共用部分となります(東京地裁平成3年11月29日判決)。
ウ 504号室の床とコンクリートスラブとの間に隙間があるが、狭いため、給湯管に傾斜をつけコンクリートスラブを突き抜けて404号室の天井裏に出ている場合
この場合も専有部分の所有者は給湯管を管理できませんので、給湯管は共用部分となります(最高裁平成12年3月21日判決)。
以上まとめますと、アの場合は、504号室の専有部分の所有者であるBさんが本件水漏事故の責任を負い、イとウの場合は、共用部分となりますから御社が修理等の責任を負うことになります。