当社には、生まれたときの性別は男性・心は女性の従業員(医師より性同一性障害と診断)がいます。会社として女性の服装で勤務することを認めていますが、同僚から「性転換手術を受けていないなら男に戻ったら」という発言があり、本人から苦情がありました。当社はどのように対応すべきですか?

このような発言は、性的指向・性自認に関するハラスメント(SOGIハラスメント)に該当する可能性があります。
SOGI(ソジ)とは、性的指向(Sexual Orientation)と性自認(Gender Identity)の略称で、すべての人に関わる概念です。
個人の性的指向や性自認を揶揄したり否定したりすることは許されません。
御社では、従業員が自認する性別に即した服装や勤務を行うことを尊重しているようです。
性別適合手術の有無にかかわらず、その権利は保護されるものです。
したがって、このような苦情があった場合には、
・まず事実関係を丁寧に確認し、ハラスメント禁止規程や服務規律に違反する場合は懲戒処分を含め厳正に対応します。
また、SOGIハラスメントに関する禁止事項や懲戒事由が就業規則に明記されていない場合は、速やかに規程を整備します。
さらに、性的指向や性自認を尊重する重要性、どのような発言・態度がSOGIハラスメントに当たるのかを全従業員に周知する研修・啓発活動も実施します。
参考までに、株式会社電通の調査(2020年)では日本におけるLGBT層は8.9%とされ、100人の会社では約8~9人が該当する可能性があります。経団連も「LGBTに関する取組なくしては、人材確保や離職防止は達成できない」と提言しています。
御社が今後も、誰もが安心して働ける職場環境の実現に取り組むことが、御社の利益になると考えます。