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平成30年4月1日から事業承継税制が抜本的に変更になり、自社株の後継者への贈与がしやすくなったと聞いていますが、どのように変わったのでしょうか。

質問者

従来、租税特別措置法(70条の7の4)により、先代経営者から後継者へ非上場株式を贈与する場合、後継者が贈与を受ける前に保有していた自社株式と合わせて発行済み株式数の2/3に至るまでの株数につき、贈与税の納付が猶予されていましたが、平成30年の改正(70条の7の8)で贈与を受けた自社株式全部につき贈与税の納付が猶予されるようになりました。これにより承継時の税負担はゼロになります。また先代経営者が死亡したときは贈与税が免除されて贈与株式は相続されたものとみなされますが、相続税も全額納税猶予されます。

 

また従前、贈与者は筆頭株主たる先代経営者に限定されていましたが、改正法により、その他の親族又は親族以外の株主からの贈与にまで拡大され、後継者による経営の安定が図られています。

 

次に、改正法では、後継者の将来の不安をできるだけ払拭する措置もとられています。

 

改正前は、事業承継後5年間平均して8割の雇用確保が要件になっていました。現在のような人手不足の下では、中小企業にとって、この要件は一番大きな不安要素でした。そこで改正法はこの要件を事実上撤廃しました。

 

また、改正前でも、事業承継後、会社が破産や民事再生手続に入った場合は、納税猶予された贈与税や相続税は免除されることになっていましたが、景気が悪化して会社の業績が悪くなっただけでは免除されませんでした。その結果、会社の業績が悪化してからM&Aで会社を売却した場合、猶予納税額は事業承継時の評価額に基づいて計算されていますので、高額の贈与税又は相続税を一括して納めることになります。これではM&Aによる売却代金がほとんど残らない事態にもなりかねません。そこで改正法は、会社の業績が悪化してから株式を売却する場合、納税額を再計算して、当初の猶予納税額との差額を減免することにしました。

 

このように改正法は、事業承継時の自社株式にかかる贈与税をゼロにし、さらに後継者の将来不安をできるだけ解消し、事業承継の促進と廃業防止を意図しています。そのため、本年4月以降、改正法による事業承継税制の利用が急増し、廃業が急減すると予想されていました。しかし、一般の予想に反し、改正法の活用は急増せず、廃業は依然として増加しています。結局、親族間の事業承継は、親族に後継候補がいることが前提であり、後継候補がいなければ、いくら税制上の優遇を用意しても廃業は減りません。廃業という社会的損失を防ぐには、やはり第三者へのM&Aが欠かせません。

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