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私の父が先日亡くなりました。

母は3年前に亡くなっていますので、相続人は、私と兄の2人です。遺産は、土地建物(時価2000万円)と預貯金2000万円です。

私の父は10年前から認知症で、要介護度は3でした。そのため、母は付きっきりで父を介護していました。しかし母が死亡してからは、私が母に代わって父を介護してきました。兄は家庭をもっていますが、私は独身でしたので母が死亡するとすぐに父の介護をするようにしたのです。

この場合私は3年間父を介護したことで兄より多く遺産をもらうことはできないでしょうか。

質問者

貴方は寄与分が認められ、お兄さんより多く遺産をもらえる可能性があります。寄与分とは、被相続人の財産の維持・増加に特別に寄与した相続人が遺産の中からその貢献度に応じて一定額を先取りする権利といっていいでしょう(民法904条の2参照)。現実の遺産分割調停等で寄与分はなかなか認めらません。もともと相続人は扶養義務があるのが通常ですから、被相続人の家事をいくら手伝ってもそれは扶養義務を果たしたにすぎず寄与分とは認められません。

 

しかし本件では、お母さんが生前付きっきりでお父さんの介護をしていました。お母さんがお父さんの介護をするのは当然で、これは夫婦の扶助義務といいます(民法752条)。扶助義務は扶養義務より重いものです。一方、貴方には子として扶養義務はありますが扶助義務はありません。そこで貴方はこの3年間、生前のお母さんのように付きっきりでお父さんの介護をしたのですから、扶養義務以上のことをしたことになり、特別の寄与と評価できます。

 

それでは、貴方はいくらの寄与分が認められるでしょうか。民法では、寄与の時期、方法、程度、遺産の額などを基準にして、最終的に裁判所が決めることになっています(904条の2第2項)。本件で、もし貴方の代わりに家政婦を雇ったとすれば、どれだけの出費になったか、が参考になります。ある判例では、1日8000円と評価しています(大阪家裁平成19年2月8日決定)。この判例によると、本件では、8000円×365日×3=876万円が寄与分となります。しかし本件では遺産総額が4000万円と比較的少ないので、裁判所の裁量で減額されると思います。そこで仮に寄与分を500万円として、貴方の相続分を計算してみましょう。

 

まず遺産総額4000万から貴方の寄与分500万円を控除します。そして残額3500万円を2分の1ずつ貴方と兄さんで分けます。すると貴方の取り分は3500万円÷2=1750万円となります。これに貴方の寄与分500万円を加算した金額2250万円が貴方の相続分で、お兄さんの相続分は1750万円となります。

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