よくわかる相続の法と税務(5) 弁護士 小山 治郎

今回は養子がいる場合を説明します。

 相続関係図

相続関係図(5).png

遺産内容等

 預貯金 8000万円

 葬式費用と債務は無視

 預貯金8000万円を法定相続分で分割

 

1 被相続人のBは、三男Eの遺子で孫のGを非常に可愛がり養子にしました。遺言がなかったので、長男C、次男D、そして嫁FGの法定代理人)が遺産分割について話し合いました。問題は、Gの相続分です。Gは、Eの子として代襲相続人です。また被相続人Bの養子として本位相続人(本来の相続人)でもありますから、2つの地位を併有し、相続分の加算を認めるか、すなわち、Gの相続分は、13、なのか、14×212、なのか、が問題です。

  被相続人のBは孫の相続分を多くするために養子縁組をしたわけではないでしょうし、Gの相続分が12になると、長男Cや次男Dも不満を述べるかもしれません。実際、学説でも加算を認めるべきではないという説もあります。しかし加算を否定する根拠は乏しく、認めるのが多数説であり、判例でもあります。

 

2 課税価格の計算

C

8000万円×14

2000万円

D

8000万円×14

2000万円

G

8000万円×12

4000万円

 

 

 

 

3 基礎控除額と課税遺産額の計算

  基礎控除額は、3000万円+600万円×法定相続人の数、で算定されます(法151項)。そこで、本件では、Gが代襲相続人でもあり、養子でもありますから、これを2人と数えて、合計4人として基礎控除額を計算できれば節税になりますね。しかし税法はそれほど寛大ではありません。解釈上もG2つの地位を併有するだけで、法定相続人としては1人です。

  そこで基礎控除額は、

   3000万円+600万円×34800万円

 となります。

  また、課税遺産額は、

   8000万円-4800万円=3200万円

 となります。

 

4 相続税の総額の計算

  まず、法定相続人の法定相続分に応ずる各取得金額を計算します。

(課税遺産額)

(法定相続分)

(取得金額)

C

3200万円

×

14

800万円

D

3200万円

×

14

800万円

G

3200万円

×

12

1600万円

  次に、相続税の速算表で相続税額を計算します。

C

800万円×0.1

80万円

D

800万円×0.1

80万円

G

1600万円×0.1550万円=

190万円

相続税の総額

350万円

 

 

5 算出税額の計算

 按分割合

  按分割合は、各人の課税価格を課税価格の合計で除して計算します。

C

2000万円÷8000万円=

0.25

D

2000万円÷8000万円=

0.25

G

4000万円÷8000万円=

0.50

合計

1.00

 算出税額

C

350万円×0.25

875000

D

350万円×0.25

875000

G

350万円×0.5

175万円

合計

350万円

 

6 納付税額の計算

  CDは、算出税額が納付税額になりますが、Gは未成年者ですので、未成年者控除(法19条の3項)が適用になります。これは、20歳になるまでの年数(端数は切り上げ)に10万円を乗じた金額を算出税額より控除する制度です。未成年者は普通成年に達するまで収入がないので相続税を軽くしたのでしょう。しかし私は、遺産をもらえるだけでも恵まれているのですから、この制度には違和感を覚えます。

  それはともかく、Gは相続開始時に9歳と5ヶ月ですから、

   未成年者控除額=10万円×(209)110万円

 となります。よって、Gの納付額は、

   175万円-110万円=65万円

 となります。

 



投稿者 小山法律事務所 | 2017年7月31日 13:32

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