行方不明の賃借人に対する建物明渡請求(弁護士 五明 豊)

こんにちは。弁護士の五明です。本日は,大家さんが頭を悩ませる行方不明の賃借人に対する建物明渡請求について,以下で書いてみたいと思います。

 

賃借人に賃料不払いがあった場合には,賃貸人は,支払期日を決めて,未払賃料の支払いを催告し,支払がなされない場合には,契約を解除することになります。そして,そのうえで,建物明渡請求をするのが通常の流れと言えます。

 

この支払の催告や契約の解除は,意思表示の証拠化のため,内容証明郵便で行うのが一般的ですが,これは相手に届かなければ意味がありません。ところが,相手が行方不明で,就業場所もわからない場合,通常の手段では,この催告や解除の意思表示を相手に届けることができません。

 

そこで,訴状に解除の意思表示を記載して,公示送達(裁判所の掲示板に掲示される,民事訴訟法111条。)する手段をとることになります。解除の意思表示は掲示を始めた日から2週間を経過した時点で,賃借人に届いたことになります(民事訴訟法113条,同法112条1項)。

 

もっとも,行方不明の場合において公示送達をするためには,「当事者の住所,居所,その他送達をすべき場所がしれない場合」という要件を満たす必要があります(民事訴訟法110条1項1号)。この公示送達の要件は疎明ではたりず,証明まで求められ,賃借人の所在などの調査が不十分なままだと公示送達できない場合がありますので,現地調査などを丹念に行う必要があります。

 

公示送達が行われて裁判になり,建物明渡を認める判決が出されたあとは,強制執行手続きに進むことになりますが,建物の明渡のほか,動産を差押えもした上で,賃借人の荷物などを搬出して明渡を実行することになります。

 



投稿者 小山法律事務所 | 2012年9月11日 10:28

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