福島レポート① (弁護士 小山治郎)

 平成24年4月28日(土)、NGOの主催する福島県三春町農家との交流会に参加した。朝7時20分に東京駅をバスで出発したが、連休初日で常磐道は大渋滞、5時間かけて三春町に到着した。ちょうど満開を迎えていた滝桜を1時間かけて楽しんだ。この滝桜は日本三大桜の1つで、樹齢1000年、江戸時代は三春藩も保護に力を入れ、桜守は藩の要職であったそうである。

 農家の方々の手作りのオニギリ等で昼食をとった後、現地の農業関係者との交流会が開かれた。まず有機農ネットの理事長が放射線との苦闘を語った。ちょうど田植えの時期に当たるが、農家の中には政府の作付規制で12年産の作付けを断念するものが相当数に上っているようである。1キログラム当たり500ベクレルを越える田んぼでは、全面的に作付けはできないが、条件付き作付け地域とされる1キログラム当たり100ベクレルから500ベクレルの田んぼでは、各農家に、空間放射線量の測定と10アール当たり300キログラムのゼオライト(セシウム吸収物質)の散布等が義務付けられている。高齢化している各農家にとって、このような条件を充たすことは、非常に困難である。このような条件があるため、作付けを断念し補償を得た方が有利と考える農家が出てくるのも当然である。多くの農家が作付けを断念すれば、田んぼは荒れ、他の農家にまで被害が及ぶことになる。田んぼが荒れるままにしておけば、里山からの流水管理も行われず、山林からのセシウム流入を防ぐことが困難になる。必要とされているのは、農家、農水省、環境省、科学者そしてボランティア団体の情報交換と連携であると思う。

 三春町の隣の郡山東からきた主婦は、自宅の近くでは、場所によっては10マイクロシーベルトの線量が測定されるところ(ホットスポット)もあり、それに慣れてしまうのが怖いと述べていた。

 福島の課題は、今後息の長い努力と工夫をわれわれに要求していると思う。



投稿者 小山法律事務所 | 2012年5月 1日 09:00

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